
消費者はすでにリアル店舗だけでなく、ネットショップでも買い物をするようになっている。ほんの数年前まで、ネット・ショッピングは恐くて信用できないという不安も根強かったのに、いまや9割の消費者はネットで買い物したことがあり、ネット・ショッピングは、購買行動の一類型に成長してきた。
そこで、スーパーやコンビニなどの店舗は、各地域の同一業態店舗だけではなく、EC※1も競合として考えなければならなくなってきた。ただ、それはリアルの世界に競合店が増えたというのとは少し質が違っている。
消費者は気に入った商品があれば、ネットショップを運営している企業の所在地を問わず、どこからでも商品を取り寄せるようになった。でも一方、ネットで検索した商品は全てネットで買うわけではなく、ほとんどの商品をリアルの店舗で買っているように、消費者は、最寄りのお店にあるなら、実際の商品を触れて確かめた上で買いたいのだ。だから、リアルの店舗は、単純に競合が増えたと危機感を募らせるよりは、ネットにないリアルの強みを生かして、ネットでの検索や閲覧を前提にした売り場づくりを行うのが得策だ。
また、ネットショップでの購買行動を、AIDMAに代わってAISAS※2(Attention, Interesting, Search, Action, Share)という購買行動モデルで説明することも多くなった。しかし、ネットを経由した購買行動に対応する場合、AISASのAIの部分が示唆するように、マス・メディアで認知してインターネット・メディアで検索するという順番を必ずしも想定する必要はなく、これまでの購買行動と比較する上では、むしろ、「検索」を起点にした購買行動も多く見られることを踏まえておきたい。
※1 Electronic Commerce(エレクトロニック コマース):電子商取引のこと
※2 AISASは(株)電通の登録商標です。

つぶやき1
この主婦は、マス・メディアを通じて商品を認知したというより、友人のブログを読んで商品を認知し関心を喚起されたとみなしてもいい。
マス・メディアを前提にしなくても、ネットで知り興味をもった消費者が店頭にやってくる。そうイメージして、売り場づくりに生かすのである。
消費者は、ネットでの商品の評判を、とても重視している。

つぶやき2 つぶやき3
ネットの評判は、買い物する主婦の背中をかなり強力に押している。それなら、素直にネットの評判を売り場に反映すればいい。「ネットで評判の」という商品の形容はいちばんシンプルな実現方法だ。しかし、これではリアリティは薄い。これぞと思う商品は、実際にネットで調べて、「ACE」のように「放り出されたり、ぶつけたりしても壊れたりしないとネットで評判の」と書けば、説得力倍増だ。

つぶやき4 こんな定番のサイトがある場合は、これを使うのもいい。つまり、「詳しくは栗原はるみレシピのサイトで」という案内をPOPに書く。POPは、購買時点のものだが、POPに対応させて、購買起点をCOP(Cause Of Purchase)とすれば、COPはネットに、POPは店頭にある。そこで、POPとCOPを対応させるのである。
ネット経由の購買行動に対応する際、ぜひ注目してほしいつぶやきがある。

つぶやき5 この主婦の場合、「ブログのネタになる」が、購買行動の動機のひとつになっている。これは、ブログを通じたコミュニケーションのための購買というべきもので、新しい購買の形だ。
こんな消費者は、ネットのなかでも自分が発信者になって評判の生み手になってくれるから、商品をブログのネタとしてみてもらうのがいい。ブログでのコミュニケーションのきっかけを商品が提供するのである。つぶやきにあるようなネーミングの他にも、面白いパッケージ、うんちくなどは記事にしたくなる。「今日のブログの記事にどうぞ」というコピーも、お勧め言葉として有効かもしれない。こんな動機に対応すれば、主婦はもっと買い物を楽しみにするに違いない。
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注:データは、「生活行動日記BLOG」(株式会社ドゥ・ハウス運営)から引用(https://nikkiblog.jp/)
Soichi Kiyama
1963年与論島生まれ。東京工業大学工学部経営工学科卒業後、西武百貨店入社。店舗企画部、池袋店紳士服飾売場を経験。95年ドゥ・ハウスへ。定性リサーチ、クチコミプロモーション、デジタル・マーケティングを推進。常務取締役を経て、現在は独立に向け準備中。