MEO対策/Googleのアルゴリズム、ユーザーの検索行動変化に対応する重要性(学習塾・スポーツジム事例あり)

来店・来場を目的にした販促を行う企業様には、集客の手段として長年「新聞折込広告」を実施頂いておりますが、近年のデジタルシフトの影響もあり、当社のクライアント様の中にも紙媒体とWEB広告を組み合わせた集客を行うケースが出てきております。
有店舗型ビジネスで近年重要視されている施策の一つとしてMEO対策(Map Engine Optimization)があります。これは地図エンジン最適化を指します。具体的には、ローカルな検索において企業や店舗の情報を地図サービス上で上位表示させるための施策のことで、シェアの大半を占めるGoogleマップの対策のことを狭義には意味しています。
1.MEO対策とは
MEO対策とは、地図検索サービスやマップアプリに掲載する自社の店舗情報やビジネス情報を、検索アルゴリズムに則って最適化することで、自然検索時にマップ検索(ローカル検索)結果において上位表示させることを指します。もっとも代表的なGoogleマップ、それ以外にYahoo!マップ、Appleマップといった主要なマップへの対応を行うこととなりますが、Googleのシェアが大きい為、狭義にはGoogleマップ対策のことを意味しています。皆さんも例えば「近くの飲食店」「新宿の居酒屋」「上野のラーメン屋」など「近く+業種」や「地名+業種」などの検索をインターネットブラウザ、もしくはGoogleマップで行ったことがあるのではないでしょうか?近年のスマートフォンの爆発的な普及に影響された検索ユーザーの検索行動の変化と、Google自体のアルゴリズム改変及び検索結果の表示方法の変更に伴い、MEOは実店舗を中心にビジネスを行っている広告主様から高い関心を持たれている集客手法のとなっております。また、Googleの提唱においても、消費者が「知りたい」、「行きたい」、「したい」、「買いたい」と思った瞬間(いわゆるDoクエリ)にモバイルデバイスでの検索を通して消費行動に繋げることが発表されています。
(参考①:エリア検索に置けるユーザー行動のイメージ)
例えば、子供を通わせる塾を探している場合…
(参考②:Googleの検索結果表示変更について)
かつてはGoogleで検索を行うと「リスティング広告」が最上位に表示され、その下に自然検索の検索上位から表示されていましたが、現在は検索するKW(キーワード)によっては、リスティング広告の下にマップ(ローカル検索広告)が表示されるようになりました。よって、マップ上で上位表示されることが、検索者の目に触れる重要な要素となっています。以下の図では「新宿 塾」で調べた際に表示される検索表示結果の表示方法がマップが間に表示されるようになったことでどのいう変わったかが分かります。
2.MEO対策とSEO対策の違い
MEOのことをローカルSEOと呼ぶマーケッターもいることから、MEO対策と混同しがちな施策としてSEO対策があります。SEOとは「Search Engine Optimization」の略で、検索エンジンの最適化を指します。先ほどの図を再度見て頂くと、「新宿 塾」と調べた際に、かつてはリスティング広告の下に自然検索の検索上位が表示された為、検索結果の対策すべき内容はリスティング広告+とSEOだったと言えます。Googleが検索KWによってマップを間に表示するようになったため、SEO対策に加えて、店舗型ビジネスにおいてはMEO対策も行う必然性が出てきたと言えます。
3.MEO対策のアルゴリズム・要素
MEO対策を行う重要性はこれまで記載してきた通りですが、ではマップ上においてGoogleはどのようなアルゴリズムで上位表示を判断しているのでしょうか。
Googleは検索エンジンであるため、「ユーザーにとって最も有益な状態」を目指しています。その為、関係する要素として、Google のローカル検索結果のランキングを改善する方法で
■関連性:関連性とは、検索語句とローカル ビジネス プロフィールが合致する度合いを指します。充実したビジネス情報を掲載すると、ビジネスについてのより的確な情報が提供されるため、プロフィールと検索語句との関連性を高めることができます。
⇒つまり、ユーザーが検索したKWとマップ上に登録している自社の情報の関連性が高いかどうかが判断基準と言えます。自社の店舗をどのようなKWで検索しているユーザーが多いのか、どのようなKWで検索しているユーザーに閲覧してほしいか、を勘案し、Googleビジネスプロフィールの登録情報に反映していくことが必要です。
■距離:距離とは、検索語句で指定された場所から検索結果のビジネス所在地までの距離を指します。検索語句で場所が指定されていない場合は、検索しているユーザーの現在地情報に基づいて距離が計算されます。
⇒これは、検索したユーザーの現在の地点からの距離及び検索語句に含まれた地名との親和性が評価対象です。距離については店舗側が何か対策をできるものではないので、正確な住所登録を心がけることで表示されるべきユーザーに表示されない事態を避ける、というのが対応策になります。
■視認性の高さ:視認性の高さとは、ビジネスがどれだけ広く知られているかを指します。ビジネスによっては、オフラインでの知名度の方が高いことがありますが、ローカル検索結果のランキングにはこうした情報が加味されます。たとえば、有名な博物館、ランドマークとなるホテル、有名なブランド名を持つお店などは、ローカル検索結果で上位に表示されやすくなります。ビジネスについてのウェブ上の情報(リンク、記事、店舗一覧など)も視認性の高さに影響します。Google でのクチコミ数とスコアも、ローカル検索結果のランキングに影響します。クチコミ数が多く評価の高いビジネスは、ランキングが高くなります。ウェブ検索結果での掲載順位も考慮に入れられるため、検索エンジン最適化(SEO)の手法も適用できます。
ビジネスの「知名度」「評判」「話題性」が評価される指標となっており、Googleマップ内の口コミの数などはもちろんのこと、Googleマップ以外での情報量も加味されます。その中には専門用語でサイテーション対策ともいわれる、いわゆるマップの外部での対策も含まれます。Googleマップ内での口コミ収集はもちろんのこと、外部の情報量を増やす、正確性を担保する意味合いも含めて、SNSでの情報発信や外部サイトでの紹介記事の掲載、SEOを意識した自社サイトの拡充などが有効な手段となります。
- 上記の3つの要素をさらに分解すると表示順位に影響する要素としては
- ●Googleビジネスプロフィールのシグナル:関連性・カテゴリ・ビジネス名・説明文でのKWなど
- ●ページシグナル:サービスページの有無・内容、NAP(Name=ビジネス名、Address=住所、Phone number=電話番号)の正確性、タイトルタグの情報、サイトのドメインランクなど
- ●レビューシグナル;口コミの数、口コミの質、口コミの内容など
- ●リンクシグナル:被リンクの数、被リンクの権威性、被リンク獲得時のアンカーテキストなど
- ●行動シグナル:滞在時間、アクション率など
- ●引用シグナル;外部サイトでのNAPの一貫性、外部での引用数や引用内容など
- ●パーソナライゼーション:ユーザーの検索場所、検索履歴など
- と分解でき、それぞれの要素が影響する度合いは以下とされています。
- (引用:Local Search Ranking Factors)
これは2023年の発表で2025年時点でMEO対策を行う中では、Googleはより「第3者からの評価」(=口コミ)を重要視している感覚があります。これはユーザー自身も口コミを重視するという近年の傾向も影響していると考えられます。令和5年度消費者意識基本調査 調査結果の概要によると、インターネット上の口コミが与える影響度について、「インターネット上の口コミや評価が高い商品を選ぶ」が70.1%と最も高く、次いで「評価の点数が高くても、否定的な口コミを見て購入をためらうことがある」(63.9%)、「レビュー(購入者の評価)の件数が多い商品を選ぶ」(50.6%)の順となっており、ユーザーがGoogleマップやSNS上での口コミ・レビューをいかに重要視しているかをうかがい知ることができます。その為、MEO対策において、「口コミ」対策を行うことは検索上位表示を目指すと共に、ユーザーから選ばれる店舗を目指す上で必要不可欠になっていると言えます。
4.MEO対策を行うメリット
MEO対策を行うメリットについて代表的なものは以下となります。
- ●ユーザーの目に留まる可能性が上がる
- マップ上での上位表示を達成することで、ユーザーの目に触れる可能性が高まります。これはSEO上の数字にはなりますが、Google Click-Through Rates (CTRs) by Ranking Position in 2025によると、検索1位が39.8%、2位が18.7%、3位が10.2%、4位が7.4%となっており、いかに上位3位に入ることの数字的なインパクトがあるかがわかります。マップ上においても上位表示させることのインパクトはかなり期待ができます。
- ●来店・申込等の見込みが高いユーザーにアプローチができる
- マップ上で検索を行う際には「近くの〇〇」や「地名+〇〇」で調べているケースが多く、実際に行動する可能性が高い「Goクエリ」で調べているため、その後来店や申込に繋がる見込みの高いユーザーであると解釈できます。例えば「新宿 居酒屋」で調べているユーザーの置かれている状況を想像すると、
①現在新宿周辺にいて、これから行く居酒屋を探している
②今度新宿に行く予定があり、その際の店選びとして検索している
といったケースが考えられます。MEO対策を行いGoogleマップの検索結果で上位表示されれば、このような来店確率の高い見込み客にリーチできます。これらのユーザーに店舗情報を見てもらえる、知ってもらえるのは大きなメリットです。 - ●口コミ対策により信頼性を獲得することができる
- Googleがマップ上での検索順位の評価基準として「レビュー」を重要視していることはすでに触れましたが、検索結果対策の上でも口コミは重要であると共に、実際に検索したユーザーに対して、高評価の口コミが多ければそれだけ信頼性が増し、来店に繋がる可能性が高くなると言えます。つまり、口コミや星の数が多い店舗は、信頼性が高いと判断され、顧客が良い経験を共有し、星評価を高めることで、さらにそれを見て来店した他の顧客もその飲食店を評価し、その好循環により、信頼できる場所として選ばれやすくなります。
- ●業種によって、SEOはポータルサイトがあり難易度が高い為、MEOの方が費用対効果が高い
- 「学習塾」「飲食店」「美容室」のように、業種によってはポータルサイトがSEO上の検索では上位を占めており、1企業、1店舗がHPの上位表示対策を行っても成果が得られにくいことがあります。その点、MEOにはそういったポータルサイトという概念がない為、小規模な事業者でもしっかりと対策を行うことで上位表示を勝ち取ることができる可能性があります。
5.MEO対策を行うデメリット
ではMEO対策を行うデメリットについてどのようなケースが想定できるでしょうか。
- ●ネガティブな口コミによるリスク
- メリットの裏返しでもありますが、ビジネスを行う中では、すべての顧客に高評価を得ることは難しく、結果としてネガティブな口コミを書かれる可能性もあります。もちろん、ネガティブな内容が嘘である場合、Googleに対して削除申請を行うこともできますが、基本的には削除を行うことは難しい為、そういった書き込みはリスクであると言えます。ただし、こういったときの対応もその評価を見た他のユーザーに対する誠意を見せる場面でもある為、ネガティブな口コミにもしっかりと返信を行うと共に、店舗運営に活かすことが重要となります。
- ●業種によっては対策を行う競合が多く、成果が出るまでに時間がかかる
- リスティング広告やSEOでの難易度が高い業種ほど、業界の大手企業が早くからMEO対策を行っているケースが多くみられます。その場合、すでに対策を行っている競合の多さから、上位表示への難易度が高いため、成果が出るまでに時間がかかる場合があります。
- ●Googleのアルゴリズムの変化に影響を受ける
- Googleは定期的に表示のアルゴリズムを変更しています。かつて検索結果にマップを表示していなかったのを、今では表示させるようになったように、今後MEO対策を行うよりもさらに効率的な施策が出てきたり、そもそもMEO対策を行う意義が薄れたりする可能性もあります。また、表示のアルゴリズム変更により、順位が大幅に影響を受ける可能性もあります。その為、最新のアルゴリズムの変更や傾向について情報収集して備えておくことが重要となります。
6.MEO対策が有効な業種
MEO対策が有効な業種としては地域での店舗検索ニーズが強い業種となります。その中でも特に【比較検討】が行われやすい業種ほど対策をしなければ競合との差別化が難しくなると考えられます。その観点では、主に以下の業種において対策することがビジネスにおいて有効です。
- 飲食店
- 美容院、理髪店
- 医療機関、病院
- 宿泊施設
- 学習塾
- フィットネスジム
- レジャー施設、観光地
- スーパー、ドラッグストアなどの小売業
- 買取店
- 冠婚葬祭関連
- 自動車販売店
- ※赤字で記載したのが、本記事のホワイトペーパーで取り上げている事例となります。
7.MEO対策で主に実施できるポイント
ここまで、MEO対策の重要性、検索に影響する要素、対策を行うべき業種などについて解説してきましたが、最後に具体的に行う施策の一例を紹介します。
- ●登録情報を正確にする
- 登録情報、中でも特にNAPと呼ばれる「Name(=名前)」「Address(=住所)」「Phone Number(いコール電話番号)」を正確に登録することが重要です。細かい点になりますが、自社サイト、SNS、ポータルサイトなどと店名や住所の表記にズレがあるとGoogleとしては正確性に欠けると評価することもある為、表記のルールを統一化することも大事です。
- ●写真や動画、商品などを登録する
- Googleビジネスプロフィールでは写真・動画の投稿が可能です。自社店舗の写真や動画を投稿し、具体的な店舗のイメージをユーザーに見せることがポイントです。上記例でいくと「学習塾での雰囲気」が伝わる写真を入れることで、閲覧した保護者が子どもを通わせたくなる、または本人が通いたくなるといった実際のイメージが掴めるようになることが重要です。また、投稿した時期なども一緒に表示されるため、定期的に新しい写真・動画を投稿し、継続的に更新されていることを伝えるのがおすすめです。写真等を投稿して対策することはGoogle向けの対応であると同時に、MEO対策をしっかりと行っていることがユーザーに伝われば、細かくて丁寧な対応を行うイメージも与えられます。
- ●説明文に対策KWを盛り込む
- 表示の要素として「関連性」が関わってくる為、説明文にはどういうKWで調べているユーザーに表示してほしいか、また自社をどのようなKWで検索したユーザーが訪れているか、を総合的に検討し、盛り込んでいくことが大事です。例えば学習塾においては、「中学受験」「高校受験」「大学受験」どの領域をサポートしているのか、「集団塾」なのか「個別指導塾」なのか、またどのような学校に通っている生徒が多いのかなどを記載することが重要です。また、最寄り駅からのアクセスなどもしっかりと記載することがポイントとなります。
- ●口コミを書いてもらいやすい環境を整備し、返信も行う
- 近年、Googleは第三者からの評価として口コミを重要視しており、口コミに入っているKWも検索順位に影響すると言われております。その為、「高い評価の口コミ」「KWが含まれたより詳細な口コミ」の数と質は非常に重要となります。ただし、ここで注意しないといけないのは、口コミ収集にはGoogleのガイドラインがある点です。プレゼントや特典と引き換えにGoogleへの口コミを誘導することは重大なポリシー違反となっており、発覚した場合、ペナルティを受ける可能性があります。その為、自然に口コミを収集できる仕組み、環境づくりを行っていく必要があります。
- ●最新情報を投稿する
- Googleマップには「商品情報」や「最新情報」を投稿できる機能があり、ここで情報発信を行うと共に、対策KWを盛り込むことが可能です。情報が最新かつ信憑性が高いものであることをGoogleは非常に大切にしていることもあり、週に1回程度情報を更新することが、Googleへの対策という観点からも、ユーザーへの情報発信、信用度という観点でも重要となります。
- ●SNSを積極的に活用する、HPの充実させる、ポータルサイトへの登録を行う
- Googleはマップ上だけでなく、SNSやHP、ポータルサイトでその店舗がどのように取り上げられているかも評価基準としています。その為、店舗としてはSNSアカウントを作成し、情報発信すると共に、そこでユーザーからどのように投稿、評価されるか、またHPやポータルサイトの情報を充実させ、Googleマップと統一性をもって発信するかも有効な対策となります。一例として、学習塾においては、マップと対比する店舗詳細ページの有無、情報の充実度といった観点にも注目していく必要があります。
ここで紹介した施策は一例となりますが、本質としては途中にも記載した通り「ユーザーにとって最も有益な状態」は何か?を考えて、ユーザー目線で必要な情報提供を行うこととなります。
当社では新聞折込チラシを長年取り扱う中で、地域に対してどのように情報訴求を行うべきかを広告主様と共に考えて参りました。その為、MEO対策の領域においても、その視点を忘れずに、広告主様の課題感に合った施策を提案しております。是非、以下で紹介している「学習塾」や「フィットネスジム」の事例も参考に、お気軽にお問い合わせください。
【事例概要】
記事で解説した通り「学習塾」や「フィットネスジム」などローカルな店舗で集客を行う企業、また周辺の同業との比較検討が行われる可能性が高い企業はMEO対策を行う意義が大きいと言えます。当社でも新聞折込やWeb広告で取引のある上記企業でMEO対策をサポートするケースが多いです。今回はこの2業種でサポートした結果、表示順位に同のような変化があったのか、またどのような対策を具体的に行ったかを、実際の事例を用いて紹介しております。
【記事執筆者】
株式会社読売IS 営業部所属:大和田遼
2013年新卒で入社。5年間大手通信キャリアのエリアマーケティング業務などに従事。その後、6年間の支社営業時に「輸入車ディーラー」「学習塾」「24時間フィットネスジム」「宅食業」などの紙媒体とデジタルをミックスした広告販促にかかわった経験を持つ。サイト、LP制作・SEO対策・広告運用・SNS運用など幅広い領域での営業実務経験を持ち、その経験を活かしたクライアントサポートを得意としている。