ジオターゲティング広告を活用するアイディア例~求人目的での事例~

来店・来場を目的にした販促を行う企業様には、集客の手段として長年「新聞折込広告」を実施頂いておりますが、近年のデジタルシフトの影響もあり、当社のクライアント様の中にも紙媒体とWeb広告を組み合わせた集客を行うケースが出てきております。
その中でも位置情報を活用して広告配信を行う「ジオターゲティング広告」は紙媒体との親和性も高く、当社でも取り扱い事例が多い手法の一つです。「位置情報」に注目することで、配信対象者の【属性】を精度高く絞り込むことができるため、様々な活用方法が考えられますが、その中で今回は求人向けの案件へ活用した事例について紹介します。
ジオターゲティングに関する参考記事
① チラシと併用!有店舗型ビジネスに効果的なジオターゲティング広告
② レジャー施設様の事例あり/来店計測付きLINE広告(ジオターゲティング)活用事例と折込チラシのエリア最適化
1.ジオターゲティング広告の基礎的知識
1-1:ジオターゲティング広告とは
ジオターゲティング広告とは、スマートフォンで取得した位置情報データを活用して広告配信ターゲットを絞り込み、その配信ターゲットに対してWEB広告を配信する手法のことです。配信に活用する位置情報はGPS、Bluetooth、Wi-Fiなどから取得を行い、特定のエリア内に「住んでいる」「働いている」ユーザーへの配信、または特定の場所への来訪歴のあるユーザーへの配信などを通じて、場所を通じたペルソナ訴求による広告配信が可能です。
位置情報は「誰が」「どのくらいの時間」「どのくらいの頻度で」その場所を訪れたかを判別可能なデータとなります。その為、例えば夜間の位置情報が複数回取得できている=居住地の可能性が高い、日中の位置情報が頻繁に取得できている=勤務地、通学等の可能性が高い、また、頻繁に野球場に訪れている=野球ファンなど居住、勤務、趣味趣向など、ユーザーのペルソナについて位置情報を通じて思案できます。この精度高い情報をどのように広告に活用するかで、ジオターゲティング広告を効果的に配信できるかどうかが大きく変わってきます。
1-2:ジオターゲティング広告で活用される主な位置情報の種類
ジオターゲティング広告で活用されえる位置情報の取得方法は主に以下となります。それぞれ取得の精度やボリュームに違いがあります。
- ①基地局
- 基地局データは、カバーできる人口は99%以上と多く、データ量が確保できますが、各通信基地局から通信電波が届く範囲で所在エリアを判別しているため、位置情報の精度は下がります。
- ②GPS
- GPSとは、「Global Positioning System」の略称で、日本語では「全地球測位システム」と訳されます。もともとはアメリカで軍事用に開発されていた技術でしたが、現在は世界中で利用されています。飛行機や船舶、自動車などの乗り物をはじめ、現在は個人が持つスマートフォンにも搭載されております。スマートフォン普及以前に、GPSと言えば最もイメージしやすいのは「車のカーナビ」だと思いますが、現在ではGoogleマップ等で目的地に行く際に使用するユーザーも多い為、一般にも馴染みのある記述となっております。基本的な概念としては、「人工衛星(GPS衛星)から発せられた電波を受信し、現在位置を特定する」ものです。地球を周回しているGPS衛星の電波を端末が受信し、位置・距離・時刻などを計算して、現在位置を測位しております。GPSの精度の誤差は数十cm~数mといわれています。
- ③Wi-Fi
- Wi-Fiとは、スマホやPCをインターネットに接続するWi-Fiルーターから発せられる無線通信規格の一種です。カフェや飲食店などの商業施設、駅などの公共施設、ホテルなどにWi-Fiルーターが設置され、無料のインターネット環境をつくっています。 空間的精度に優れ、時間的連続性も高いため、Wi-Fiはジオターゲティング広告と相性のいい商材です。 そのため、地域住民のルーティン化した消費行動が行われる商店街などにWi-Fiルーターを設置することで、極めて高いジオターゲティング広告の効果を発揮できる通信環境となることが期待されています。滞在時間が一定時間以上担保されている施設では効果検証のための来店計測のギミックとしての活用も可能です。
- ④ビーコン(Bluetooth)
- ビーコンは、電源を入れた瞬間にスマートフォンなどの端末がBluetooth信号を発信し、半径数10cm単位から検知可能となります。その特性上、データ量は少ないですが、店舗内で商品ごとの棚前計測など、精度の高い位置情報が取得可能です。その為、Bluetoothをオンにしておくと、店舗内での回遊経路まで計測することができます。ビーコンは建物内などに取り付けた機器が発信源になるため、一定の距離内でしか受信することができないですが、地下や建物中でも受信することができます。広告配信後の効果検証で来店計測をする際などは誤差が少ないことや、実店舗に小型のBluetooth発信機「beacon」を設置することで、近くを通る通行人や来店中のモバイルデバイスのユーザーにお得情報やクーポンを届ける等、様々な用途で使用が可能です。
2.ジオターゲティング広告を活用してできる配信アイディア
ここまではジオターゲティング広告の仕組みや位置情報の取得方法について解説いたしました。ここからはジオターゲティング広告で有効な配信アイディア例について紹介します。
- ① 競合に通塾している生徒の転塾を促す広告
- →競合の学習塾を位置情報として指定し、生徒本人・親御さんに広告を配信し、転塾を促すキャンペーンと、自社の商圏内に居住している母親世代をターゲティングして配信する2つの位置情報を活用した例となります。ここでは「学習塾」を例に出しましたが、競合からの顧客スイッチを狙う業態では有効なギミックといえます。例えば「自動車ディーラー」や「フィットネスジム」などの業態でも活用できると考えています。
- ② 大学を配信対象にしたアルバイト募集や新卒採用向け広告
- →こちらはターゲットが「大学に通っている」と絞られる場合の活用方法です。例えば塾講師のアルバイトであれば、一定水準以上の大学に通う学生をアルバイト講師として採用したいというニーズがあると思います。そういった際には、大学を配信対象の位置情報として指定することで、他の媒体ではなかなかセグメントできないアプローチが可能となります。 また、近年売り手市場で企業にとって厳しさが増す新卒の分野でも、求める条件が「大卒」であれば大学を、「高卒」であれば高校を、また特定の専門職種の場合は関連する専門学校を配信指定することで、無駄なリーチを防ぎながら効果的に配信をすることが可能だと考えられます。
3.求人目的(中途採用)でジオターゲティングを活用する活用方法とメリット
最後に求人目的(中途採用)でジオターゲティング広告を活用する方法について解説します。活用方法のアイディア①②で記載したことのミックスに近い手法となりますが、特定の職種・特定の経験が必要な中途採用においては、前職での経験者に対してどのようにアプローチして、自社の採用ページを閲覧してもらえるかが第一歩となります。その為、競合の勤務地を指定する、または、それらのターゲティングの日頃の行動を推測して、訪問する可能性が高い地点で取れている位置情報に向けて配信することで、自社として採用したいポテンシャルを持っているユーザーに効率的に配信が可能です。
また、ここではジオターゲティング広告の特性を活用し、制度を高くユーザーセグメントをするアイディアを記載して参りましたが、他の媒体との組み合わせで配信を行うことも効果的です。ここで例に挙げた求人目的(中途採用)の場合、
- ① まずは競合の勤務地などを指定し精度が高いユーザーに配信し、一度HPへの来訪を促す
- ② 来訪者の情報を収集しておき、他の配信面(ディスプレイ広告・SNS広告)においてリターゲティング広告で再来訪や早期を促す
- ③ ターゲットの行動需要が高まって、検索行動を起こした際に、広告が表示されるようにリスティング広告を実施
以上のような導線設計を行ことで潜在層~健在層までを網羅的に配信し、目的達成をすることが可能です。
このようにジオターゲティング広告は「位置情報」を軸としながらターゲティングを行い、精度高く配信を行いながら、他の広告媒体と組み合わせながらビジネスの目的達成が可能な手法となります。是非マーケティング活用の一環で活用を検討してみてはいかがでしょうか。
当社では、広告主様の課題感によって、オンライン・オフライン問わずに適切と考える広告設計が可能です。お気軽にお問い合わせください。
【ダウンロード資料の事例概要】
運輸・配送事業の企業において、競合からの転職者増を目的とした広告配信のメニューの一つにジオターゲティング広告を活用した事例となります。「位置情報」をしっかりと活用し、訴求したいターゲット属性を絞り込むことによって、高い注目を得る仕掛けを行った事例となります。
【記事執筆者】
株式会社読売IS 営業部所属:大和田遼
2013年新卒で入社。5年間大手通信キャリアのエリアマーケティング業務などに従事。その後、6年間の支社営業時に「輸入車ディーラー」「学習塾」「24時間フィットネスジム」「宅食業」などの紙媒体とデジタルをミックスした広告販促にかかわった経験を持つ。サイト、LP制作・SEO対策・広告運用・SNS運用など幅広い領域での営業実務経験を持ち、その経験を活かしたクライアントサポートを得意としている。