SNSインフルエンサー施策と広告施策連動によるデジタル集客の最大化(レジャー関連事例あり)

来店・来場を目的にした販促を行う企業様には、集客の手段として長年「新聞折込広告」を実施頂いておりますが、近年のデジタルシフトの影響もあり、当社のクライアント様の中にも紙媒体とWeb広告を組み合わせた集客を行うケースが出てきております。
今回は、SNSの中で世界的な普及率が高く、ターゲティング精度やクリエイティブの見せ方に強みのあるMetaを取り上げます。その中で、広告と連動したインフルエンサー施策の主戦場になっているInstagramに着目し、インフルエンサー施策と広告運用の連動をどのように考えていくかも含めて解説します。
1.インフルエンサー施策とは?
インフルエンサーマーケティングとは、影響力のあるインフルエンサーを活用して企業のブランドや商品・キャンペーンの宣伝・普及を行うマーケティング手法のことです。昨今、SNSの利用が主流となり、多くの消費者が情報収集と購入の判断をSNSに依存しています。かつては企業からの情報発信を中心としたマーケティングが行われてきましたが、SNS時代においては、企業からの情報発信に加えて様々な手法でターゲットに情報を届けることが非常に重要な要素となっています。
インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーを通じて自然な形で商品やサービスの情報を伝えるため、従来の広告手法よりも消費者に信頼感を与えることができます。また、インフルエンサーのコミュニティを通して情報が拡散されるため、施策が成功することで、より多くの消費者に対して届けたい情報を認知してもらうことができます。
この手法は、特にデジタルネイティブと言われ、粗雑な内容を含めて大量出稿されるWeb広告への嫌悪感が大きいといわれる若年層をターゲットとするブランドや商品の認知度向上には必須の施策となります。
2.インフルエンサーとは?
インフルエンサーとは、SNS(ソーシャルネットワークサービス)やブログのオンラインプラットフォームで多くのフォロワーを持ち、その影響力を活用して製品やブランドの情報を広める個人ユーザーや団体のことを総称しています。具体的には近年ユーチューバー(YouTuber)、インスタグラマー(Instagrammer)、ティックトッカー(TikTokker)、ブロガーなどが活動しています。インフルエンサーの影響度を測る指標としては「フォロワー数」が最もメジャーな指標となっており、フォロワー数によって以下のように区分されます。
①トップ/メガインフルエンサー(100万人以上のフォロワー)
世間の知名度が高いインフルエンサーでこの規模となると、主にタレントや芸能人などが該当します。トップインフルエンサーをフォローしているインフルエンサーの2次拡散も狙うことができ、情報が爆発的に拡散する可能性があるのが特徴です。
②マクロ/パワーインフルエンサー(10万人~100万人のフォロワー)
ミドルインフルエンサーとも呼び、テレビなどマスメディアの露出は少ないものの、SNSで大きな人気を獲得する有名インフルエンサー。特に多いのがファッション、美容、グルメなど特定のジャンルに特化したカリスマ的存在のインフルエンサーとなっております。
③マイクロインフルエンサー(1万人~10万人のフォロワー)
・特定のジャンルにおいて強い影響力をもったインフルエンサー。このレンジになると、芸能事務所に所属していな一般インフルエンサーも多く含有しております。フォロワーボリューム一定程度ありながら、フォロワーとの距離感も比較的近いことが特徴で、親近感・共感を獲得しやすく、購買など行動喚起にもつなげやすい傾向があります。
④ナノインフルエンサー(数千人のフォロワー)
フォロワー数が比較的少ないものの友達感覚でのつながりが多いため、投稿への反応率(フォロワー数に対するいいね、コメントの割合)が高くなる傾向があります。
各々のインフルエンサーの特徴を理解しながら、広告臭を消しつつターゲットへのアプローチを狙っていくことが大切となります。
3.インフルエンサー施策のメリット・デメリット
次に、インフルエンサー施策を企業として行うことのメリット、デメリットについて解説いたします。
【メリット】
- ①広告臭が少なくメッセージを受け入れられやすい
- 若年層になればなるほど、「Web広告」への嫌悪感が高い傾向にあり、広告臭を消した中で自然な形でメッセージを訴求できるインフルエンサー施策は非常に魅力的なマーケティング手法となります。皆さんも企業の広告やホームページで情報収集をした後、第三者目線を確認するために、口コミサイトのレビューを確認したり、SNSでその商品を使用している感想を閲覧した経験があるのではないでしょうか。また、近年ではアドブロックで広告を表示させないユーザーも徐々に増えており、そういったユーザーにアプローチするにはPR表記でのインフルエンサー投稿は欠かせない手段となります。
②消費者目線でレビューしてもらうことでUGC(口コミ)を増やすことができる- インフルエンサー施策の大きなメリットとして、上記のような広告臭なくアプローチできると同時に、消費者目線でのレビュー(口コミ)を収集できる点があります。ある調査によると、商品の購入前にSNSでUGC(口コミ)を探す人は63%、20―39代の53%が購買行動にUGC(口コミ)が影響をしたと回答しています。
- 出典:Olapic『Facebook & Instagram Advertising With UGC : A Practitioner’s Guide』
これは企業の広告よりも第三者目線の信頼性が高く、自分事しやすくなることからユーザーの購買行動へ繋がっていることを意味しています。Instagramのタグ付き投稿はインフルエンサー施策によってUGC(口コミ)を醸成した結果、情報が充実しているとユーザーの安心感を得られる箇所の例となります。
③ターゲティングを行うことが容易- インフルエンサー施策を行う上で、インフルエンサー選定をしっかり行うことで、ターゲティングがしやすいことも特徴です。近年はインフルエンサーのジャンルも多様化、専門化してきており、「美容系インフルエンサー」「子育て系インフルエンサー」「旅系インフルエンサー」など様々なジャンルのインフルエンサーを施策と商品の特徴によってしっかり選定することで、そのインフルエンサーのフォロワーの属性に応じてターゲティングが可能です。
④インサイトデータ取得と効果測定がしやすい- インフルエンサー施策を行うSNSによって取得できるデータは異なりますが、主に以下のようなデータを取得することが可能です。
- ・いいね・保存数
・リーチ数
・エンゲージメント数・率
・シェア数 - これらのデータを取得し、分析するソーシャルリスニングをしっかりと行うことで、インフルエンサー投稿によるSNS内での効果検証を行うと共に、売上への貢献なども指標として見ることが可能です。
⑤ネット上でのストック資産となる- インフルエンサー施策等で収集したUGC(口コミ)、またそれらの積み重ねによって獲得したフォロワーは、「ストック資産」となる点も見逃せないメリットになります。一般的なWeb広告が広告配信期間中にしか成果が発生しづらくなる「フロー型」のマーケティング施策と言われるのに対して、フォロワーやUGCは一度取得すると残る為「ストック型」の施策と言えます。
⑥SEO強化(トラフィック増加)にも効果的- インフルエンサーマーケティングは、SEO対策としても効果を発揮します。インフルエンサーによる投稿は、高いエンゲージメント率を獲得しているため、検索エンジンからの評価が高まりやすいです。その結果として、検索結果での順位が向上することで、トラフィックの増加に繋がります。
さらに、インフルエンサーがシェアするコンテンツは、リンクや口コミとして多くの人に拡散されやすく、自然な被リンクを獲得する機会が増加します。この被リンクはSEOに強く影響し、Webサイトの評価を高めることに繋がります。
⑦購買・行動に繋がりやすいため、オンライン販売・店舗型ともに相性が良い- インフルエンサー施策は購買・行動に繋がりやすい為、オンライン上での販売、店舗型での販売どちらにも相性がいいとされています。
- ◎オンライン販売の場合…
- ・実際に製品を発送して開封・使用の様子をレビューしてもらう
・フォロワー数に応じた発信力を活かしてエリア問わずに拡散、プロモーションできる
・URLリンクやショッピング機能を活用することで購入ページに直線遷移させられるといったメリットを得ることができます。 - ◎店舗型ビジネスの場合…
- ・インフルエンサーに来場してもらい、PR投稿からイベント集客してもらう
・地域性のあるインフルエンサー起用で一定商圏での集客を強化できる
・キャンペーンやセール情報のPRで高い集客効果を得られるといったメリットが得られます。
【デメリット】
①インフルエンサーの選定が難しい- インフルエンサーの選定にはフォロワー数の指標以外にも、施策とインフルエンサージャンルの親和性、エンゲージメント率、過去の案件データなど様々な要素を勘案して対応する必要があり、一定の専門知識が必要です。
②炎上のリスクに備える必要がある- SNS上でのマーケティングで避けて通れないのが、炎上のリスクです。ステルスマーケティングにあたらないように施策を実施することや不適切な発言によって炎上する可能性があることを踏まえて、一歩間違えると大きな損害を被ることになるということを必ず念頭に置いて対応することが求められます。
4.インフルエンサー施策を行う主な媒体
インフルエンサー施策を実施する際には、「どのSNSでPR投稿を発信するか」も重要です。SNSは媒体ごとに特徴や強みが異なるため、インフルエンサーの系統・投稿の方向性などに違いがあります。情報を届けたいターゲット層の年代や性別にあったSNSを選ぶことで、潜在顧客に積極的にアプローチできるようになります。
①Instagram
Instagram(インスタグラム)は、写真・動画をメインに投稿するSNSとして幅広い世代から人気を集めています。総務省の調査によると、2023年時点で10代~60代の男性利用率が41.4%、女性利用率が58.9%となっており、女性利用率が高いSNSです。
グルメ、ファッション、美容、インテリア、旅行といった「写真映え」するものと相性がよく、タレントやインスタグラマーとのタイアップPR投稿にも幅広く活用されています。
「ショッピング機能」では、投稿から自社ECサイトに遷移できるため、購買に直接つなげられる点もビジネスアカウントにとって大きなメリットです。
また、「ストーリーズ」「リール」といったZ世代・ミレニアル世代と相性の良い縦型動画の機能が揃っており、スマートフォンで気軽に情報収集やコミュニケーションに活用できる点が魅力です。
インフルエンサー施策実施時に、企業の公式アカウントに対し、タイアップタグとメンション(アカウントのタグ付け)機能で認知させることも可能です。特に「ブランドとのタイアップタグ」は、ステマ防止に効果的です。
さらに、「ブランドコンテンツ広告」という広告機能も特徴で、企業がインフルエンサーの投稿を自社広告に2次配信できる仕組みが内包されています。
②X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、テキストベースでの情報量の多さと拡散性の高さが特徴のSNSです。 投稿は最大140文字まで入力可能で、長すぎずサクッと読める手軽さが人気になっています。 「リポスト(旧リツイート)」と呼ばれるシェア機能を使うことで投稿を広く拡散してもらうことができ、企業の情報発信やコミュニケーションにも活かされています。
日本では、最初に流行したSNSのパイオニア的存在でもあり、メインユーザーは20代~40代の男女を中心に広く分布しています。
近年、Google検索よりもX(旧Twitter)を使って情報を集める人が増加傾向にあり、今話題になっている情報やリアルタイムの情報(天気、電車の運行状況など)の検索性に優れています。
上手く活用できれば他のプラットフォームにはない爆発的な拡散に期待できます。
③TikTok
TikTokは、ショートムービーが主体のSNSプラットフォームで、豊富なBGMや編集・エフェクト機能で誰でも簡単に楽しい動画が作成可能で、Z世代を中心とした若い世代の人気を集めています。ダンスを拡散させる「#ハッシュタグチャレンジ」施策などでは、TikTokを起点にトレンドを生み出した例も多く、近年ではTikTokを起点に楽曲が流行ることもあり、媒体の成長はマーケティング施策において今後さらに注目を集める可能性があります。若年層向けのSNSであるイメージが強いTikTokですが、近年利用する年代が拡大しており、動画の拡散性の高さから、認知施策においてTikTokを起点に行い、その後購買行動に繋がりやすいInstagramで刈り取り策を行う企業も増えています。
④YouTube
YouTubeは、世界最大のオンライン動画共有プラットフォームで、長尺動画を投稿できるため、画像や文字では表現しきれない詳細な情報を視聴者に伝えやすい点が大きな特徴になっています。
日本において、老若男女に関わらず幅広いユーザーが利用しており、例えば、育児の中でYouTubeを見せるケースも一般化していることから子供向けチャンネルの需要も高まっています。
動画の中にボタンを追加して自社サイトに遷移させるといったことができるので、商品説明の動画の最後にユーザーをECサイトに誘導するといった使い方も効果的です。
訴求力が高くてユーザーのネクストアクションを促しやすいため、購買につなげやすいプラットフォームといえるでしょう。また、TikTokのようなショート動画も近年増えており、2024年の都知事選挙でSNS選挙として話題になったように、ショート動画の拡散によって認知を獲得し、長尺の動画により理解促進を促すような取り組みも一般企業でも増えています。
子どものなりたい職業ランキング上位にもなっているユーチューバーが多数活動しており、テレビ離れが加速する中で、YouTubeを活用したインフルエンサー施策は今後も注目すべき手法です。
5.インフルエンサー施策のSNS活用における立ち位置
最後に、インフルエンサー施策のSNS活用における立ち位置については以下の図の通りとなります。
さらにInstagramを例に解説すると、以下の図のように、Instagram内では
・自社による投稿で情報発信・インフルエンサーや一般ユーザーによるUGC投稿・広告出稿のトライアングル施策により、様々な方向で情報発信が可能です。つまり、ここまで記事で解説した「インフルエンサー施策」と「広告」を連動させることで、「広告単体」よりも大きな成果に繋げることが可能です。
当社においても、特にUGC(口コミ)が購買・行動に繋がりやすい「ファッション」「レジャー」等の案件を中心に、このような施策事例が増えております。
近年、SNSではスマホで視聴することを前提に縦型の「ショート動画」が主流となっています。動画パターンも多様化しており、インフルエンサーが作成するUGC風動画、スライドショー形式の静止画風動画、ショートドラマ風動画、CMのようなハイクオリティ動画などがあります。また、AI音声を使ったナレーションやテキスト読み上げなどの活用も進んでおり、手軽に高品質な音声コンテンツが作成できるようになりました。
このようなトレンドの中で、インフルエンサー施策と広告運用を連動させるマーケティング施策がますます重要になっています。
実際にInstagramをハブとしてインフルエンサー投稿とそれと連動して広告を実施した事例の具体的な数値については、以下のフォームをご入力いただくと資料をダウンロード可能です。是非お気軽にダウンロードください。
【事例概要】
首都圏のレジャー施設において、サービス内容と親和性の高いインフルエンサーをアサイン。その投稿が閲覧された時期を見計らって、各広告の運用を開始。結果として、インフルエンサー投稿のエンゲージメントの高まりと連動して、広告の成果も改善した事例となります。